Ads by Google
新しい記事を書く事で広告が消せます。
鬼に金棒。
今日はフルートのお話。
実はわたくし、フルートを少々嗜む。
きっかけは小学校の頃、音楽の授業で聴いた“ビゼー”作曲、組曲アルルの女より「メヌエット」から。
この曲でフルートにはまる人は多いと聞く。
中学時代に半年間、新聞配達のアルバイトをやって中古のフルートを入手。近所の音楽教室にて数回レッスンを受けたが、その後は独学。
高校時代よりロックバンドに傾倒し、徐々にフルートからは離れ、つい最近まで思い出すこともなかったが、楽器店に勤める友人の頼みで、キャンセル品のフルートを購入後、熱病が再発し、44歳になって本格的レッスンを始めるに至ったわけである。
今日ご紹介するフルーティストはとんでもない人、フルートに於ける私の神、いや、フルートの鬼と言うべきか・・・・
サー・ジェームズ・ゴールウェイ(Sir James Galway)
アイルランド系イギリス人のフルート奏者である。
現代最高のフルート奏者の一人。
英国のロンドン交響楽団、ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団の主席フルート奏者を経て、カラヤン時代の名門ベルリンフィルに試験入団、首席奏者となる。
また、ベルリンフィルを退団する際、あのカラヤンの慰留を蹴った事でも有名である。
ベルリンフィル退団後はソリストとして活躍、現在に至る。
背はそれほど高くないが、適度に張ったエラの上を髭で装飾し、その広い肩幅はスーツの下に立派な体格が隠されていることを容易に連想させる。
その体型が示すとおり、この方のフルートは恐ろしくパワフルなのである。
「黄金のフルートを持つ男」の異名通り、24金のフルートに拘り、日本製「ムラマツ」の24金フルートを長年愛用。ちなみにこの楽器は2008年現在の価格が9,744,000円、無論ゴールウェーはオプションをたくさんつけているだろうから1千万は超えているであろうと想像される。さらにムラマツは有名アーティストへの楽器協賛を一切行わないメーカーとしても有名で、従ってゴールウェーはこのフルートを自費で購入した事になる。
2005年から米国製「ナガハラフルート」に持ち替えたが、このナガハラフルートは、日本人フルート技師の永原氏により、アメリカボストンで誕生した比較的若いメーカーである。
もう一ちなみに、あらゆる楽器は世界的にみれば欧米ブランドのシェアが高いが、フルートだけは別で、先のムラマツに代表される日本ブランドが世界シェア1位を持っており、2位の米国製とで世界シェアの80%以上を確保する、日本人が最も得意(作るのが)とする楽器だといえる。
黄金のフルートは、安い洋銀製や最も一般的な銀製、或は14金、18金製に比べ、はるかに鳴らすのが難しい。これは素人考えでも判る事で、比重が重いからである。比重が重い金属ほど、強い衝撃を与えなければ、固有の共振周波数を長く発することが出来ない。
ところが、ゴールウェイが24金フルートにハイパワーで息を吹き込むと、管全体が「カーン」と響き、独特のサウンドを生み出す。良い意味で、これが本当にフルートかと問いたくなるほどの独特な音色なのである。例えるならば、フルートにバイオリンの音が少し混じる、或はフルートと小さな音のオーボエが完全なユニゾンで演奏していると言うべきか。
ゴールウェーはその特徴的サウンドを大いに活かして、七色のサウンドとも言うべき表現力を駆使し、音楽の真髄を捉えたとも言うべき、エモーショナルな演奏を最も得意としている。
今回ご紹介するのは、クラシックの有名曲とポップスを交えたアルバムで、1976年から1999年までに録音されたゴールウェーのベスト版である。従って演奏楽器はムラマツ製ということになる。

ベリー・ベスト・オブ・ジェームズ・ゴールウェー
音質 9.0〜9.7
音楽としての楽しさ 9.7
録音の趣 9.5〜9.9
AmazonJP
ゴールウェーという人はクラシックの演奏家ながら、ポピュラー音楽を蔑視せず、自らのレパートリーにもよく取り入れている。このCDは二枚組みで、Disk1がクラシックの小品集。Disk2がポピュラー音楽中心となっており、クラシックファン以外の方でも馴染みやすい。
音質は曲によって録音された年代が異なり様々だが、オーディオファイルでも納得できる高音質といえる。クラシックの演奏ではナチュラルな響きを持たせ、またポピュラーでは曲調に合わせて、例えば“コンドルは飛んでいく”では閉じた感じに、“オールウェイズ・ラブ・ユー”ではたっぷりとしたリバーブ感を持たせた非常に趣の良い録音である。
特に凄いと感じさせられる演奏は、Disk1の8曲目、“ヴェニスの謝肉祭”と、Disk2の11曲目の“メモリー”だろう。
“ヴェニスの謝肉祭”ではピアノの伴奏と一本のフルートと言うシンプルな構成ながら、アップテンポでダイナミックな演奏により、カーオーディオでも大音量で楽しみたくなるなる。またフルートの高低によるトーンの違いを活かして、まるで二本のフルートであるかのように聴かせる、驚異的テクニックを披露している。
“メモリー”は、ミュージカル「キャッツ」の挿入歌として有名だが、この曲でのゴールウェーは正確に音を出す事が難しいとされるフルートの低音部を、管全体を極限まで震わせるかのようなハイパワーで鳴らしまくり、心の芯を突き抜けるかのような、気持ちのよい、抜けの良い音を聴かせてくれる。この美しき音色は、他のどのフルート演奏家の録音からも聴こえてきた事がない。今演奏されているのが本当にフルートなのかと疑問を抱かざるを得ないほどである。
ネットや音楽雑誌などでたまに見かけるアーティストの人気投票。ジェームズ・ゴールウェイは、私の知る限り、フルート部門のどの人気投票でもトップであった。しかしゴールウェイの演奏があまり好きではないという人もいないわけではなく、その理由には「感情的過ぎる」というものが最も多い。確かに彼の演奏はエモーショナルである。
私見だが、クラシックの演奏家は、自分の意見は出来るだけ入れずに、作曲者の意図したところを探りながらも、楽譜通りに演奏すると言うのが基本である。そこに演奏家のオリジナリティはあまり求められない。アドリブなど持っての外である。従って、一音一音に感情を込めるゴールウェイのような演奏は、ある意味クラシックの世界ではアバンギャルドなのかもしれない。
しかしアーティストとして自己表現を中心とする演奏手法は、今やポピュラー音楽を始め、現代音楽では当たり前の話である。従ってクラシック以外の音楽にも、その見識を広げるゴールウェイの演奏は、むしろエモーショナルであるべきで、彼の演奏の真髄は、その多彩な表現力の中にこそあると思っている。
ゴールウェイとそのファンの方には大変失礼な言い方だが、
彼は髭面の赤ら顔で、角を生やせば「温和な顔した鬼」という表現がぴったりである。
彼が黄金のフルートを持てば、正に「鬼に金棒」なのである。
実はわたくし、フルートを少々嗜む。
きっかけは小学校の頃、音楽の授業で聴いた“ビゼー”作曲、組曲アルルの女より「メヌエット」から。
この曲でフルートにはまる人は多いと聞く。
中学時代に半年間、新聞配達のアルバイトをやって中古のフルートを入手。近所の音楽教室にて数回レッスンを受けたが、その後は独学。
高校時代よりロックバンドに傾倒し、徐々にフルートからは離れ、つい最近まで思い出すこともなかったが、楽器店に勤める友人の頼みで、キャンセル品のフルートを購入後、熱病が再発し、44歳になって本格的レッスンを始めるに至ったわけである。
今日ご紹介するフルーティストはとんでもない人、フルートに於ける私の神、いや、フルートの鬼と言うべきか・・・・
サー・ジェームズ・ゴールウェイ(Sir James Galway)
アイルランド系イギリス人のフルート奏者である。
現代最高のフルート奏者の一人。
英国のロンドン交響楽団、ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団の主席フルート奏者を経て、カラヤン時代の名門ベルリンフィルに試験入団、首席奏者となる。
また、ベルリンフィルを退団する際、あのカラヤンの慰留を蹴った事でも有名である。
ベルリンフィル退団後はソリストとして活躍、現在に至る。
背はそれほど高くないが、適度に張ったエラの上を髭で装飾し、その広い肩幅はスーツの下に立派な体格が隠されていることを容易に連想させる。
その体型が示すとおり、この方のフルートは恐ろしくパワフルなのである。
「黄金のフルートを持つ男」の異名通り、24金のフルートに拘り、日本製「ムラマツ」の24金フルートを長年愛用。ちなみにこの楽器は2008年現在の価格が9,744,000円、無論ゴールウェーはオプションをたくさんつけているだろうから1千万は超えているであろうと想像される。さらにムラマツは有名アーティストへの楽器協賛を一切行わないメーカーとしても有名で、従ってゴールウェーはこのフルートを自費で購入した事になる。
2005年から米国製「ナガハラフルート」に持ち替えたが、このナガハラフルートは、日本人フルート技師の永原氏により、アメリカボストンで誕生した比較的若いメーカーである。
もう一ちなみに、あらゆる楽器は世界的にみれば欧米ブランドのシェアが高いが、フルートだけは別で、先のムラマツに代表される日本ブランドが世界シェア1位を持っており、2位の米国製とで世界シェアの80%以上を確保する、日本人が最も得意(作るのが)とする楽器だといえる。
黄金のフルートは、安い洋銀製や最も一般的な銀製、或は14金、18金製に比べ、はるかに鳴らすのが難しい。これは素人考えでも判る事で、比重が重いからである。比重が重い金属ほど、強い衝撃を与えなければ、固有の共振周波数を長く発することが出来ない。
ところが、ゴールウェイが24金フルートにハイパワーで息を吹き込むと、管全体が「カーン」と響き、独特のサウンドを生み出す。良い意味で、これが本当にフルートかと問いたくなるほどの独特な音色なのである。例えるならば、フルートにバイオリンの音が少し混じる、或はフルートと小さな音のオーボエが完全なユニゾンで演奏していると言うべきか。
ゴールウェーはその特徴的サウンドを大いに活かして、七色のサウンドとも言うべき表現力を駆使し、音楽の真髄を捉えたとも言うべき、エモーショナルな演奏を最も得意としている。
今回ご紹介するのは、クラシックの有名曲とポップスを交えたアルバムで、1976年から1999年までに録音されたゴールウェーのベスト版である。従って演奏楽器はムラマツ製ということになる。

ベリー・ベスト・オブ・ジェームズ・ゴールウェー
音質 9.0〜9.7
音楽としての楽しさ 9.7
録音の趣 9.5〜9.9
AmazonJP
ゴールウェーという人はクラシックの演奏家ながら、ポピュラー音楽を蔑視せず、自らのレパートリーにもよく取り入れている。このCDは二枚組みで、Disk1がクラシックの小品集。Disk2がポピュラー音楽中心となっており、クラシックファン以外の方でも馴染みやすい。
音質は曲によって録音された年代が異なり様々だが、オーディオファイルでも納得できる高音質といえる。クラシックの演奏ではナチュラルな響きを持たせ、またポピュラーでは曲調に合わせて、例えば“コンドルは飛んでいく”では閉じた感じに、“オールウェイズ・ラブ・ユー”ではたっぷりとしたリバーブ感を持たせた非常に趣の良い録音である。
特に凄いと感じさせられる演奏は、Disk1の8曲目、“ヴェニスの謝肉祭”と、Disk2の11曲目の“メモリー”だろう。
“ヴェニスの謝肉祭”ではピアノの伴奏と一本のフルートと言うシンプルな構成ながら、アップテンポでダイナミックな演奏により、カーオーディオでも大音量で楽しみたくなるなる。またフルートの高低によるトーンの違いを活かして、まるで二本のフルートであるかのように聴かせる、驚異的テクニックを披露している。
“メモリー”は、ミュージカル「キャッツ」の挿入歌として有名だが、この曲でのゴールウェーは正確に音を出す事が難しいとされるフルートの低音部を、管全体を極限まで震わせるかのようなハイパワーで鳴らしまくり、心の芯を突き抜けるかのような、気持ちのよい、抜けの良い音を聴かせてくれる。この美しき音色は、他のどのフルート演奏家の録音からも聴こえてきた事がない。今演奏されているのが本当にフルートなのかと疑問を抱かざるを得ないほどである。
ネットや音楽雑誌などでたまに見かけるアーティストの人気投票。ジェームズ・ゴールウェイは、私の知る限り、フルート部門のどの人気投票でもトップであった。しかしゴールウェイの演奏があまり好きではないという人もいないわけではなく、その理由には「感情的過ぎる」というものが最も多い。確かに彼の演奏はエモーショナルである。
私見だが、クラシックの演奏家は、自分の意見は出来るだけ入れずに、作曲者の意図したところを探りながらも、楽譜通りに演奏すると言うのが基本である。そこに演奏家のオリジナリティはあまり求められない。アドリブなど持っての外である。従って、一音一音に感情を込めるゴールウェイのような演奏は、ある意味クラシックの世界ではアバンギャルドなのかもしれない。
しかしアーティストとして自己表現を中心とする演奏手法は、今やポピュラー音楽を始め、現代音楽では当たり前の話である。従ってクラシック以外の音楽にも、その見識を広げるゴールウェイの演奏は、むしろエモーショナルであるべきで、彼の演奏の真髄は、その多彩な表現力の中にこそあると思っている。
ゴールウェイとそのファンの方には大変失礼な言い方だが、
彼は髭面の赤ら顔で、角を生やせば「温和な顔した鬼」という表現がぴったりである。
彼が黄金のフルートを持てば、正に「鬼に金棒」なのである。
コメント
コメントの投稿



